最近忙しくて本読む時間が無くなってきた
人体 失敗の進化史(遠藤秀紀)
動物や人体の進化の歴史を、解剖学の立場から探る本。進化というと例えば、魚類が陸上に上がるために肺が生まれた、といった必要に応じて生物が適応するように考えがちだが、実際はそのような都合のよいストーリーは起こらないという。前述の例でいえば、一部の魚類が水中での浮沈補助のために浮袋のような器官を発達させたが、これが陸上に上がる際に肺に改変された歴史がある。このような進化を前適応と呼び、本来別の目的があって発達させた部分が、「たまたま」都合よく進化の材料にされてきたのである。
こんな具合に改変されることから、当然進化によってしわ寄せが生じることは多々ある。人体でいえば二足歩行による骨格への負担、心肺機能への負荷のほか、重すぎる脳がもたらす影響や現代社会と全く調和しない月経の意味など、よく自分自身の体がちゃんと動いているものだと心配になってくる。
本書の序盤では動物の解剖学に関する話が続くので、タイトルに期待して本を開くと肩透かしを受ける。しかし我慢して読んでみると、非常に面白い人体とのつながりを理解できるので、読み通してほしい。
反三国志(周大荒)
既存の正史や三国志演義とは異なる史観で、三国志を綴る本。冒頭から既存の史観を全否定し、本書こそが正統だと言い切る流れには、あっけにとられてしまう(冗談で言っていると思われるが、、)。既存の三国志との違いを楽しむものなので、ある程度分かっていないと面白味がないと思われるが、とにかく蜀が強すぎる。どいつもこいつも諸葛亮の地雷(当時は火薬もないはずだが、、)で倒れる様は読んでいて辛い。表現や展開の広がりも稚拙な印象を受ける。ネタ本として読みたい人向けだが、自分は最後まで読めなかった。